カスラーメン 自家製麺キリンジ
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3.11
カスラーメンにみる副産物の逆襲と生存戦略
―歴史・差別構造・経営戦略を横断するソウルフードな一杯―
1. 問題提起
:副産物に宿る知恵と文化「副産物=下品・安価」という通念の裏には、かつての生活知が埋もれている。かつて副産物とは「命を余さず活かす知恵」であり、限られた資源の中で生き延びる術だった。その象徴が「あぶらかす」である。副産物は単なる「余り物」ではなく、都市下層の知恵と文化、そして倫理の記憶を宿す存在だ。
2. 都市構造と差別的地理──屠殺場という周縁の記憶
川辺に追いやられた屠殺場・処刑場は、「死」と「排水」という機能を担わされながら、皮革・食肉という産業を支えた。生産の場でありながら、差別と忌避の対象でもあった。大阪・南河内・生野区、兵庫・長田区、東京・足立区、浅草――これらの場所には、部落と工業、そして食が交錯する「都市の周縁」が存在していた。
3. 現代の逆転──
副産物が主役となる時代へ
かつて廃棄されていた骨や皮は、いまやゼラチン(グミ)として世界的な需要を持つ(食品・医薬・化粧品等)。副産物は「再利用」から「主役」へと位置づけが変わりつつある。あぶらかすもまた、保存性・風味・栄養価の高さから、再評価されるポテンシャルを秘めている。
4. あぶらかすとは何か──
牛の小腸を揚げ、脂と水分を抜き、旨味を凝縮した保存食。それがあぶらかす。
大阪府南河内の部落文化に由来し、闇市や屋台を経て、やがてうどんやB級グルメと融合。香ばしさ、コク、保存性、コスト──そのすべてを
備えた、部落の知恵が生んだ一品である。
まるで魔法、足せばうまみ増す 大阪・南河内の油かす
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO67179970Q0A211C2KNTP00/
5.
被差別文化に宿る思想
──
廃棄とされた部位に意味を見出し、使い尽くす「全体利用」の思想は、実利と倫理の接点にある。蔑まれた食材を誇りに昇華する逆説的な文化は、宗教的・社会的差別構造の中でこそ生まれた。そして今、持続可能性や命の尊重が問われる時代に、その思想が静かに再浮上している。これをソウルフードと呼ばず、何と呼ぶのか。
6. 現代的意義──
副産物を主役に据えたカスラーメンは、次のような現代性を帯びる。
●持続可能性との親和性
●香ばしさとコクによる味の独自性
●差別化された食文化戦略
●健康主義とは異なる“食文化主義”の提案
●「珍味」ではなく「再評価のソウルフード」として、カスラーメンは情報過多の現代において「語る価値」をもつ存在となりうる。
7.上原善広『被差別のグルメ』にみる思想の核──
差別のなかで忘れ去られた食材たちを、「血と対話」として描いた本書は、
中上健二の痕跡で
部落文化に宿る倫理性と生の哲学を浮き彫りにする。在日コリアンの歴史を背負う「焼肉」、黒人奴隷制に根ざす部落食「フライドチキン」──そうした“下”とされてきた料理は、いずれも支配と貧困の記憶を抱えながら、
社会の裂け目から
光を帯びるようになった。同じく「あぶらかす」もまた、一つの逆襲であり、現代のニッチと共鳴する可能性を秘めている。
8. 経営戦略としての白兵戦──シャベル思考としての、あぶらかす
個人店は大資本と「白兵戦(接近戦)」を強いられる。そこで重要なのは、以下のような局地戦型のランチェスター戦略が有効と考える
●一点集中(特化)
●明確な差別化
●限られた資源の効率化(ありもの)
あぶらかすは、出汁・香味油・具材という三役を一手に担う“万能素材”である。ガラも出さず、廃棄ゼロ。その効率性は、まるで一本のシャベル。塹壕を掘り、対人攻撃に用いられ、銃弾から身を守る――。令和の戦争においても、電力不足と弾薬不足の局面でロシア兵が手にしたのは最新の鳥型ドローンではなく、第一次大戦時代から続くシャベルであった事実は、武器に求められる条件が、局面において「攻撃力の高さ」だけではないことを物語っている。頑丈か、継戦力、汎用性、コスト、戦術性。戦場で真に求められるのは、多面的な“実用性”である。同様に、あぶらかすも一杯のラーメンにおいて、攻守を兼ね備える素材だ。出汁を引き、香味を纏わせ、主役の具材にもなる。
まさに“白兵戦”のための実戦的食材だ。無駄を出さず、余すことなく使い切るその姿勢は、ラーメンという丼の中に封じ込められた合理性と執念の結晶そのものである。あぶらかすは食材として極めて実践的かつ現実的だと言える。
9. 結論──
副産物の再評価とは、単なる再利用や環境配慮のエコではない。また、それを掲げる自己満足的なエゴでもない。それは、命のすべてを活かそうとする生活の知恵と、生き抜くための執念が、闇市の屋台を経て、いま現代のラーメンの丼へと受け継がれているという「記憶の連鎖」の再発見である。カスラーメンは、そうした周縁の知と中心(芯)を突き崩す、ソウルフードの逆襲=再定義である。過去への懐古でも、ノスタルジックなレトロでもない。「中心ではない価値」こそがこれからの時代を切り開く鍵であることを改めて提示したい。あぶらかすの逆襲の一杯が照らすのは、脂肪か未来か。持久戦か、消耗戦か。塹壕のような狭い店ですが、本日も粛々と営業しています。
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