仙台に「ご当地ラーメン」がない理由。結論→それは地形で米と魚が強すぎた。

店主雑記

仙台に「ご当地ラーメン」がない理由。結論→それは地形で米と魚が強すぎた。

目次

  1. はじめに
  2. 宮城県は、まず米がおいしい
  3. 東へ行けば魚がある
  4. 餅屋が多いのも宮城らしいずんだ風景
  5. 仙台には「何でもある」
  6. 大阪も、実は仙台と地形が似ている
  7. ご当地ラーメンがないことは、むしろ強み
  8. まとめ

はじめに

札幌には味噌ラーメン。

喜多方には喜多方ラーメン。

博多には豚骨ラーメン。

全国を見渡せば、その土地の名前が付いたラーメンはたくさんあります。

では、仙台はどうでしょう。

「仙台ラーメン」と聞いて、多くの人が同じ一杯を思い浮かべることはありません。

これは仙台のラーメン文化が弱いからではありません。

私は20年仙台で長くラーメン店を営んできましたが、理由はもっと単純だと思っています。

米と魚が強すぎた。

それだけの話です。

宮城県は、まず米がおいしい

宮城県は昔から米どころです。

仙台平野が広がり、水にも恵まれ、おいしい米がたくさん採れる。

今でも「ひとめぼれ」や「ササニシキ」は全国的に知られています。

理由は地形にあります。

奥羽山脈から流れる水が、仙台平野に注ぎ込みます。

平野が広く、水はけも良い。

米作りに向いた土地が、そもそも広がっているわけです。

旅行に来た人も、「ご飯がおいしい」と驚くことがあります。

米がおいしい地域では、食卓の真ん中は昔からご飯です。

ラーメンではありません。

東へ行けば魚がある

そして海です。

気仙沼、塩釜、石巻、女川。

これも地形の話です。

三陸のリアス式海岸は、入り江が深く、港が作りやすい。

さらに沖合には親潮と黒潮がぶつかる潮目があります。

だから魚種が豊富で、水揚げも安定する。

車で少し走れば、リトル横浜の塩釜の新鮮な魚が当たり前に手に入る環境があります。

マグロ、カツオ、サンマ、ホヤ、カキ。

魚がおいしい土地では、「今日は刺身にしよう」「焼き魚にしよう」という食卓が自然にできあがります。

山からの平野、海沿いのリアス式海岸。

この2つの地形が、米と魚を両方とも仙台の食卓に運んでいたわけです。

つまり宮城県は、

米がある。

魚がある。

昔から食べるものに困らない土地だったわけです。

餅屋が多いのも宮城らしいずんだ風景

仙台市内を自転車で走っていると、意外と餅屋があります。

住んでいる人には当たり前の景色かもしれません。

でも県外から来た人は、「こんなに餅屋があるんだ」と驚くことがあります。

餅は米からできています。

つまり、それだけ米文化が生活の中に残っているということです。

ご飯を食べる。

餅を食べる。

魚を食べる。

そんな土地に、ラーメンが主役として入り込む余地は、それほど大きくなかったのではないでしょうか。

仙台には「何でもある」

逆に今の仙台は面白い街です。

味噌もある。

醤油もある。

つけ麺、もある。

二郎系もある。

家系もある。

自家製麺の店もある。

あぶらかすを使ったラーメンもある。

一つのご当地ラーメンがない代わりに、日本中のラーメン文化が集まっています。

だから食べ歩きが面白い。

店ごとに個性がはっきりしています。

大阪も、実は仙台と地形が似ている

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同じ現象は、大阪にもあります。

大阪にも「ご当地ラーメン」と呼べる決定版がありません。

理由は仙台と同じ、地形です。

大阪は大阪平野という広い平野の上にあります。

北摂の山から流れる淀川と大和川が、栄養豊富な水を平野に運びます。

だから米や野菜が育ちやすい。

さらに大阪湾は瀬戸内海とつながっています。

波が穏やかで、魚介類が獲れやすい漁場です。

平野があって、海が近い。

米も魚も、昔から手に入る土地。

仙台とまったく同じ条件です。

もうひとつ、共通点があります。

運河です。

大阪は江戸時代、「八百八橋」と呼ばれるほど運河が張り巡らされていました。

道頓堀川、東横堀川。

米や魚を大量に運ぶための水路が、街の隅々まで通っていたわけです。

仙台にも、貞山運河があります。

阿武隈川から松島湾まで、海沿いをつなぐ運河です。

米どころ仙台平野で採れた米を、船で運ぶために作られました。

どちらの街も、平野の恵みを海まで運ぶ水路を、人の手で発達させていた。

つまり地形だけでなく、その地形を活かす流通の仕組みまで似ていたのです。

その結果、大阪では「食い倒れ」と呼ばれるほど多様な食文化が育ちました。

うどん、お好み焼き、たこ焼き。

ラーメンは、数ある選択肢のひとつに過ぎなかったわけです。

一つの料理が「ご当地」として突出する必要が、そもそもなかった。

平野と海がある土地は、ラーメン一杯に頼らなくても、食べるものに困らないのです。

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ご当地ラーメンがないことは、むしろ強み

「仙台にはご当地ラーメンがない。」

そう言われることがあります。

でも私は、それを欠点だと思ったことはありません。

決まった型がないからこそ、新しいラーメンが生まれやすい。

お客様も「仙台ラーメンとはこういうもの」という先入観を持たずに食べてくれます。

自由度が高い街なんです。

まとめ

仙台にご当地ラーメンが定着しなかった理由はいろいろあるでしょう。

戦後の屋台文化や人口の流れなど、歴史をたどれば他にも理由はあります。

ただ、一つだけ言えることがあります。

宮城県は、米がおいしい。

魚がおいしい。

餅文化が今も残っている。

そんな土地だったからこそ、一杯のラーメンが地域全体を代表する必要がなかったのではないでしょうか。

だから私はこう考えています。

仙台にはご当地ラーメンがないのではない。

米と魚が、それ以上に強かったのである。

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