はじめに

札幌には味噌ラーメン。
喜多方には喜多方ラーメン。
博多には豚骨ラーメン。
全国を見渡せば、その土地の名前が付いたラーメンはたくさんあります。
では、仙台はどうでしょう。
「仙台ラーメン」と聞いて、多くの人が同じ一杯を思い浮かべることはありません。
これは仙台のラーメン文化が弱いからではありません。
私は20年仙台で長くラーメン店を営んできましたが、理由はもっと単純だと思っています。
米と魚が強すぎた。
それだけの話です。
宮城県は、まず米がおいしい
宮城県は昔から米どころです。
仙台平野が広がり、水にも恵まれ、おいしい米がたくさん採れる。
今でも「ひとめぼれ」や「ササニシキ」は全国的に知られています。
旅行に来た人も、「ご飯がおいしい」と驚くことがあります。
米がおいしい地域では、食卓の真ん中は昔からご飯です。
ラーメンではありません。
東へ行けば魚がある
そして海です。
気仙沼、塩釜、石巻、女川。
車で少し走れば、リトル横浜の塩釜の新鮮な魚が当たり前に手に入る環境があります。
マグロ、カツオ、サンマ、ホヤ、カキ。
魚がおいしい土地では、「今日は刺身にしよう」「焼き魚にしよう」という食卓が自然にできあがります。
つまり宮城県は、
米がある。
魚がある。
昔から食べるものに困らない土地だったわけです。
餅屋が多いのも宮城らしいずんだ風景
仙台市内を自転車で走っていると、意外と餅屋があります。
住んでいる人には当たり前の景色かもしれません。
でも県外から来た人は、「こんなに餅屋があるんだ」と驚くことがあります。
餅は米からできています。

つまり、それだけ米文化が生活の中に残っているということです。
ご飯を食べる。
餅を食べる。
魚を食べる。
そんな土地に、ラーメンが主役として入り込む余地は、それほど大きくなかったのではないでしょうか。
仙台には「何でもある」
逆に今の仙台は面白い街です。
味噌もある。
醤油もある。
つけ麺、もある。
二郎系もある。
家系もある。
自家製麺の店もある。
あぶらかすを使ったラーメンもある。
一つのご当地ラーメンがない代わりに、日本中のラーメン文化が集まっています。
だから食べ歩きが面白い。
店ごとに個性がはっきりしています。
ご当地ラーメンがないことは、むしろ強み
「仙台にはご当地ラーメンがない。」
そう言われることがあります。
でも私は、それを欠点だと思ったことはありません。
決まった型がないからこそ、新しいラーメンが生まれやすい。
お客様も「仙台ラーメンとはこういうもの」という先入観を持たずに食べてくれます。
自由度が高い街なんです。
まとめ
仙台にご当地ラーメンが定着しなかった理由はいろいろあるでしょう。
戦後の屋台文化や人口の流れなど、歴史をたどれば他にも理由はあります。
ただ、一つだけ言えることがあります。
宮城県は、米がおいしい。
魚がおいしい。
餅文化が今も残っている。
そんな土地だったからこそ、一杯のラーメンが地域全体を代表する必要がなかったのではないでしょうか。
だから私はこう考えています。
仙台にはご当地ラーメンがないのではない。
米と魚が、それ以上に強かったのである。


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