平成十八年

仙台 ラーメン 自家製麺 あぶらかす カスラーメン あぶらかす

暖簾を出してから、今年で二十年になる。

平成十八年、二〇〇六年の師走に、この二日町の小さな店で産声を上げた。当時はまだ、あぶらかすという食材を仙台で説明することから始めねばならなかった。牛の小腸を揚げ、水分と脂を抜いて旨みだけを凝縮させたその一片が、なぜ麺と出会うべきなのか。理屈より先に、丼を出して味わってもらう。それしか説明の方法がなかった。

翌年、公式サイトを開いた。今でこそ当たり前だが、当時、暖簾一枚の小さな店が自前でウェブサイトを持つのは、いささか珍しいことだったように思う。二〇〇九年には、あぶらかすのテイクアウトを始めた。店の外にまで、この味を持ち出してよいものかと迷いはあったが、求める声に応えぬ理由もなかった。

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二〇一六年、京都音楽博覧会への出店の話をいただいた。あぶらかすの故郷とも言える関西の地で、仙台生まれのカスラーメンを出す。妙な巡り合わせだと、今でも思う。

時代は下って、二〇二〇年にはウーバーイーツを導入し、二〇二一年には油そばを、温と冷、両方で出すようになった。効率を求めたわけではない。むしろ、一杯ごとに向き合う手間は増えている。それでも、求める人がいる限り、選択肢を狭めたくはなかった。

そして今年、二〇二六年。人手が足りぬ厨房で、AIに調理の相棒を頼んでみようと、ラーメン用のプロンプトを作った。手が離せぬ厨房のために、声だけで動くキッチンタイマーも作った。二十年前には想像もしなかった道具だが、やっていることは変わらない。目の前の一杯を、少しでもよい状態で出すこと。それだけである。

二十年前と変わらぬのは、あぶらかすへの敬意と、自家製麺・自家製粉という手間を惜しまぬ姿勢。変えてきたのは、その手間を支える手段だけだ。

老舗と呼ばれるほどの年月ではないかもしれない。それでも、二日町の片隅で、同じ場所に立ち続けてきたことには、それなりの意味があると信じている。

これからも、味は変えず、手段だけを更新しながら、続けていくつもりである。

自家製麺キリンジ
宮城県仙台市青葉区二日町15-15第2石原ビル1F
地下鉄東西線 北四番丁駅 徒歩約2分

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