一杯のラーメンを、数値で解剖する。
ラーメン原価図鑑作りました。
ラーメンの値段はどうやって決まる?原価率だけでは分からない一杯の価格
ラーメン屋のメニューを見ていると、「このラーメンは原価いくらなんだろう」と考えることがある。
1,000円のラーメンなら、材料費は300円くらいなのか。
チャーシューが多いラーメンなら、もっと高いのか。
自家製麺なら安くなるのか。
逆に、具材をたくさん使ったラーメンは、それだけ利益が少なくなるのか。
飲食店の原価を考えるとき、最初に出てくるのが「原価率」だ。
ただ、ラーメン店の価格は、原価率だけで決まっているわけではない。
実際には、麺、スープ、タレ、チャーシューなどの材料費以外にも、店を営業するためのお金がかかっている。
この記事では、ラーメン一杯の原価を考えながら、販売価格がどのように成り立っているのかを整理してみる。
そもそもラーメンの「原価」とは何か
まず、原価という言葉を簡単に考えてみる。
ラーメンの場合、分かりやすいのは食材にかかる費用だ。
例えば、
小麦粉
スープの材料
醤油や味噌などのタレ
チャーシュー
ネギ
メンマ
海苔
卵
など。
これらを一杯分に換算すれば、食材の原価を計算できる。
実際に当サイトでは、麺・スープ・具材などの使用量を入力して、一杯あたりの原価を計算できる「ラーメン原価図鑑」を作っている。
ラーメン原価図鑑|自家製麺キリンジ
食材を入力すると、食材合計や一杯あたりの原価、カロリーまで確認できる。
ただし、ここで出てくる数字は店の実際の仕入れ原価そのものではない。
現在の図鑑では、市場価格や各種統計などをもとにした年間平均の推計値を使っている。季節や仕入れ先、ロットによって実際の価格は変わるため、正確な計算をする場合は自分の仕入れ価格に置き換える必要がある。
この「推計値と実際の仕入れ価格は違う」というところは、原価を考えるうえで結構重要だ。
ラーメン1杯の原価は、材料によって大きく変わる
ラーメンといっても、全部同じ原価ではない。
例えば、シンプルな醤油ラーメンと、チャーシューが何枚も乗った特製ラーメンでは、当然材料費が違う。
さらに、使う食材によって1gあたりの価格も大きく違う。
現在のラーメン原価図鑑では、例えば小麦粉、自家製麺、豚バラチャーシュー、あぶらかす、煮卵、メンマ、ネギ、海苔など、それぞれに異なる単価を設定している。
ここで面白いのが「あぶらかす」だ。
当店でも使っている食材だが、一般的なラーメンの具材と同じ感覚では原価を考えにくい。
つまり、
「ラーメンだから原価はこれくらい」
という一つの数字で考えることには無理がある。
何を使っているかによって、原価は変わる。
自家製麺なら原価は安いのか
自家製麺の店では、麺を自分で作る。
では、市販の麺や製麺所から仕入れるより必ず安いのか。
ここは単純ではない。
小麦粉を仕入れるだけなら、材料としての麺の原価は計算できる。
しかし、麺を作るには設備が必要だ。
製麺機も必要になる。
作業時間も必要になる。
掃除も必要になる。
機械のメンテナンスもある。
つまり、「小麦粉の価格=麺の原価」ではない。
これはラーメン店に限った話ではない。
店で何かを自作すると、材料費は見えやすくなる一方で、作るための時間や設備も必要になる。
だから原価を考えるときは、食材だけを見るのではなく、その商品を作るまでに何が必要なのかを見る必要がある。
原価率30%なら、70%が利益なのか
ここは飲食店の原価率を考えるときに、特に誤解されやすいところだ。
仮に、
販売価格1,000円
食材原価300円
だったとする。
原価率は30%になる。
では残りの700円が利益かというと、そうではない。
ここから店を営業するためのさまざまな費用が出ていく。
家賃。
電気。
ガス。
水道。
消耗品。
設備の修理。
食器。
洗剤。
包装資材。
人件費。
その他にも細かい支出がある。
つまり、
売価 − 食材原価 = 利益
ではない。
ここを理解しておくと、飲食店の価格を見るときの見方が少し変わる。
「原価が高いラーメン=儲からない」とも限らない
これも単純には判断できない。
例えば、原価の高いチャーシューをたくさん使ったラーメンがあったとする。
材料費だけ見れば、シンプルなラーメンより利益は残りにくい。
しかし、そのラーメンを食べたい人が多ければ、商品として成立する。
逆に、原価の安い商品でも、注文されなければ売上にはならない。
つまり飲食店では、
原価率だけで商品を評価することはできない。
価格。
注文数。
仕込み量。
食材ロス。
調理時間。
提供時間。
人件費。
こうした要素を合わせて考える必要がある。
食材の値上がりは、ラーメンの価格にどう影響するのか
ここ数年、飲食店にとって食材価格の変動は無視できない問題になっている。
小麦粉だけではない。
肉、野菜、卵、油など、いろいろな材料の価格が変わる。
ラーメンは複数の食材を使う料理なので、一つの材料だけが値上がりしても、すぐに一杯の価格が決まるわけではない。
例えばチャーシューの材料が値上がりした。
その場合、
チャーシューを減らすのか。
販売価格を変更するのか。
他の部分で調整するのか。
そのままにするのか。
店によって判断は違う。
だから「原価率○%だから、この価格」という単純な話ではない。
原価を知ると、ラーメンの見方が変わる
ラーメンを食べる側からすると、1杯の価格だけを見る。
例えば1,000円なら、「1,000円のラーメン」として食べる。
しかし、作る側から見ると、その1,000円の中にはいろいろなものが入っている。
材料。
仕込み。
設備。
光熱費。
人件費。
店の維持費。
そして、売れ残った食材などのロスもある。
もちろん、店によって条件は違う。
だから他店のラーメンについて、「原価は○円のはず」と外から決めつけることはできない。
それでも、一杯の材料を細かく分解してみると、普段何気なく食べているラーメンが少し違って見えてくる。
自分のラーメンの原価を計算してみる
原価について文章だけで考えても分かりにくい。
そこで作ったのが「ラーメン原価図鑑」だ。
食材名、単価、使用量を入力すると、一杯あたりの原価を計算できる。
カロリーも同時に計算できるので、原価と栄養面を一緒に確認できる。
さらに、計算したラーメンを「マイラーメン図鑑」に登録できるようにしている。
例えば、自宅でラーメンを作る場合でもいい。
小麦粉。
豚肉。
卵。
ネギ。
海苔。
スープ。
使った材料を入力していけば、「一杯作るのにいくらかかったのか」が見えてくる。
外食だけではなく、家庭で作るラーメンの材料費を考えるときにも使える。
数字は便利だが、数字だけでは分からない
原価計算は便利だ。
材料を入力すれば数字になる。
ただ、その数字がすべてではない。
実際の仕入れ価格は店によって違う。
同じ食材でも、仕入れる量や業者によって価格が変わる。
季節によっても変わる。
ラーメン原価図鑑でも、プリセット単価は年間平均の推計値として扱い、実際の仕入れ価格とは異なることを明記している。
だから、この図鑑は「全国のラーメン店の原価を断定するもの」ではない。
ラーメン一杯を材料ごとに分解して、原価を考えるための道具。
そのくらいに考えてもらうのがちょうどいい。
ラーメンは「材料費」だけでできていない
ラーメンの価格について考えるとき、原価率は分かりやすい数字だ。
ただ、そこだけを見ると見えなくなるものも多い。
麺を作る。
スープを仕込む。
チャーシューを仕込む。
野菜を切る。
丼を洗う。
厨房を掃除する。
材料を仕入れる。
店を維持する。
一杯のラーメンが客席に出てくるまでには、いろいろな作業がある。
原価を計算するというのは、その全部を数字にできるという話ではない。
まずは「この一杯には何が使われているのか」を確認するところから始まる。
ラーメン原価図鑑も、そのために作った。
実際の仕入れ価格が分かるなら、それを入力すればいい。
自分で作ったラーメンなら、自分の材料費を調べてみればいい。
数字にしてみると、「思ったより安い」「意外と高い」という発見があるかもしれない。
そして、その数字をきっかけに、普段食べているラーメンについて少し考えてみる。
それくらいの使い方が、一番面白いと思う。
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